映画『国宝』を観た
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カテゴリ:映画
母に誘われて、今さらながら映画『国宝』を観た。
母は昔から歌舞伎が好きで、ここ数年、多いときには月1ペースで東京や京都、大阪などに歌舞伎を観に行っていた。それに加えてシネマ歌舞伎も嗜む人なので、この映画が話題になったときに、きっとこれも観に行くんだろうと思っていた。私は私で、ラジオやYouTubeなどでたびたび芸人がこの映画の話をしているのを耳にしており、どんな作品なのか気になってはいた。
最後に劇場で観たのは2018年夏公開の『ジュラシック・ワールド/炎の王国』、実に7年ぶりの映画館だ。建物の自動ドアが開く前からキャラメルポップコーンのあま~い香りが鼻をかすめていた。夕飯を食べたばかりだったので泣く泣く我慢。上映開始15分前に入場のアナウンスがあり、スクリーンへ移動する。公開から5か月弱が経っている作品だけど、座席は半分くらい埋まっているように見えた。さすが人気作。
正直寝不足気味だった。3時間もあるし途中で寝たらどうしよう……。ひとたび映画が始まると、そんな不安はどこかへ吹っ飛んでしまった。スクリーンから目が離せなくなり、周りのポップコーンのカサカサ音も遮断される。途中で誰かの携帯の着信音が鳴り、そこで一瞬集中力が途切れたけれど、またすぐに入り込むことができた。さすがに3時間があっという間というわけではなかった。それでも一度も退屈と思う場面はなく、“才能”と“血筋”に翻弄されていく男・立花喜久雄の人生をじっくりと堪能した。
エンドロールまで見届けたあと、まず軽い疲労感に襲われる。少し遅れて、ああ……面白かった……という感情が湧いてきた。ハリウッドの超大作エンタメ映画を観終えたときのような高揚感バリバリの、面白かった!!!とはまた違う、あとからじわじわと効いてくる余韻。散々話題になっていたのは知っていたけれど、歌舞伎がテーマという時点で敷居が高いし、なんせ長いし、正直母に誘われなかったらサブスクで観るつもりでいた。でも、これは間違いなく映画館で観るべき映画だった。
帰りの車の中、ずっと母と国宝について話していた。演目のシーンが本物の歌舞伎を観ているみたいだったと歌舞伎好きの彼女が言うくらいだから、本当にクオリティが高かったんだと思う。喜久雄が部屋子(師匠の家に住み込みで修行する若手弟子のこと)であることや、二人藤娘、曽根崎心中、鷺娘あたりの演目から、母が大ファンである坂東玉三郎さんを彷彿とさせる部分があるとも言っていた。調べたら特にモデルはいないようだけど、参考にしている部分はあるのかも。
鑑賞から数日経った今でも、私は国宝の余韻の中にいる。今まではどんな映画でも劇場で観るのは1回で十分だと思っていたし、実際そうしてきた。今回も観終わった直後くらいはその気持ちだったのに、一晩経ったら、また映画館で観たい!!!にすり替わっていた。不思議だ。ただ、今回行った劇場もすでに1日1回のみの上映となっていたし、大ヒット作といえど他の劇場も同じようなものだろうから2回目は厳しいかも知れない。大きいスクリーンで、いい音響で、たった1回でもこの作品を味わえてよかった。
今まで何回か母に歌舞伎に誘われたことがあったが、あまり興味がわかず毎回断っていた。次誘われたらさすがに行くっきゃない。とはいえいきなり生で観るのはハードル高いので、まずはシネマ歌舞伎から始めようかな。